奇遇

    奇遇ですね、いやいや思えばご自分は地元だから奇遇ではないか。そんなことを思いながら最後まで読みました。

先輩のバックグラウンドが少し分かって、見方を変えそうになりましたが、やはり50年前の印象は変えられませんね。

 当時は塾などと言うものはなく、普通に学校に通い、そこで培った学力だけの勝負でした。風貌からしたら想像はできませんが、先輩も又、庶民が通う高校で頑張っていたのでしょうね。

 僕の通っていた薬科大学は、男子学生のほとんどが医学部受験の敗者でした。ほんのもう少し頭が良ければ国立大学の医学部に行けていたのでしょうが、ほんの少々?成績が足らなくて、次善の策として薬科大学に行った人ばかりです。だから僕たちが属していた製造薬学科は90%が男性でした。当時の薬科大学でも異常に男子学生の比率が高いところ、言い換えれば数年医学部受験を繰り返すような強者の集まりでした。だから入学後のモチベーションはほぼ全員駄々下がりで、学業以外に活路を見出す人ばかりでした。

 当時は運のいいことに学生運動が盛んで、敗北主義と自虐が重なって、異次元の濃密な青春を送ることが出来ました。当時の有形無形の遺産が、先輩の歩んだ道だし、僕が何とか転落せずに歩んだ道なのでしょう。あの経験がなければ、もう少しは華やかな場所に咲く花であれたかもしれませんが、踏みつけられる草たちの痛みは分からなかったでしょう。

 半世紀の間、沢山の人たちと言葉を交わしてきました。あの経験がなければ出会わなかった人ばかりです。飾らない心でお付き合いできる人ばかりでした。何ら勝ち取ることは出来なかったですが、多くを与えられていたのだと気づかされます。

 先輩が書いた文章が、意外な水面で波紋を起こしてくれました。嬉しい便りでした。

ヤマト薬局

 

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