伝書鳩

 毎年この時期になると、合格の報告が入ってくる。ただし時に不合格の悲しい知らせも混ざる。僕も多くの不合格を経験しているから、気持ちは痛いほどわかる。合格したときの感動など全く覚えていないのに、不合格時の心模様や周囲の景色はよく覚えている。
 ある女性がもう少しで受験日を迎える。不安で食事もとないと訴えてきた。だから僕は慌てて以下のようなメールを送った。実体験で全く同感の文章を見つけたから、要約して送ったのだが、すぐにお礼のメールが入ってきた。自分でも気づきがあったのか、落ち着きを取り戻してくれたみたいでうれしかった。今僕の漢方薬を飲んでくれている若い子たちの3倍以上生きてきたから、少しは経験を積んでいる。たまにそれが役に立つことがあるから、老いをいたずらには否定できない。生産性で測られるともう立つ瀬はないが、時にヒット商品も出せる。
 道端で話しかけたら通報されるような風貌でも、こうして文字のやり取りなら障壁は少ない。漢方薬と言う伝書鳩が運んでくれるので。
   「 勉強が手につかないのは、合格できないかもしれないという心配でしょう。ただそれは極めて正常な心理状態で、実際には「受かるかもしれない」と思っている方が圧倒的に不合格になるらしいですよ。あなたが今不安におびえながら、試験の日を待っているのは極めて正常ですから、その気持ちで臨んだらいいです。」

 

https://www.youtube.com/watch?v=ywnf9d17Cys