収穫

 こんなに山深いところまで2車線道路が通っているのかと、ふと田中角栄の名前を思い出した。標識を見ると、吉備中央町と言う、岡山県の中部を代表する工場立地地域に通じるみたいだからわからないこともないが。
 同じような立地の御津との丁度真ん中あたりに宇甘渓と言う、紅葉のきれいなところがある。駐車場は入れ代わり立ち代わりでいつもいっぱいだったから有名なのだろう。意外と若者たちも来ていて、紅葉を愛でる心は受け継がれているみたいだ。
 そこから南下して近水園と言う、これまた紅葉の有名な公園?に行ったのだが、こちらは人工のもので、紅葉を含む造形が、なんとも羨ましかった。財力ゆえの美しさだ。
 ただし、僕には道中の景色のほうが印象的だった。帰路は、結構高いところから一路下るのだが、途中途中で眼下に広がる景色が一瞬現れる。曲がりくねった道の運転だから、気を抜くことは出来なかったが、次にお目にかかる風景の変化が楽しかった。はるか下界の集落がだんだんと姿を大きくし、やがてその中を走りぬける、めったに経験できないことに一人心が躍った。
 単なる送迎係の一日だったが、無駄なことはない。荒れた山も、少しの遊びの部分(法面)をきれいにするだけで借景になることが分かった。やはり、これが今日一番の収穫。

 

https://www.youtube.com/watch?v=Mm0AuZ3ioGE