サンダーバード6号

 サンダーバードと言う見出しにつられて読んでみたら、JRの電車の名前だった。僕が子供の時に見た未来物の人形劇かと思った。もう半世紀前の作品だが。毎回見ていたから記憶はまだある。その多くが実現しているような気はするが、それに触発されて、何かに導かれたことはなかった。まったく関係のない、ただの薬剤師で終わる。
 さて、現代版のサンダーバードのニュースは、金沢発・大阪行き「サンダーバード6号」の自由席乗車率が1%と言うものだった。実際その電車がどんなものか知りたくてインターネットで調べてみたら、なかなか外観もきれいで、車内もゆったりとして気持ちがよさそうだ。特にグリーン車は座席が1列に3つしかないから、気持ちいいだろうと思う。そして今日は何と自由席の乗車率が1%というのだから、まるで貸し切り状態だ。正直「乗ってみたかった」
 牛窓から出ずに連休を過ごすという、江戸時代以来の珍事に耐えているよりは、一か八かで北陸に行っておけばよかった。ユーチューブでその走りを見たが、田園風景の中を白い姿が走り抜けるのは本当に気持ちよさそうだった。車窓の眺めも想像できる。あの景色を独占できるなんて、きょうの1%の人はどれだけ楽しかっただろう。どれだけ幸せだっただろう。
 金沢か福井か、どこまで行く電車か知らないが、大きな旅館に泊まり、食べきれない料理をほんの一部つまみ、ふかふかの布団に寝る。そんなこともせずに人生を終えるのだろう。そこの部分にはほとんど興味はないが、ああいった電車に揺られ知らない町を走るのはいいだろうなと、自分ではかなり珍しい感情が沸いた。現役であり続ける限り、時間に追われる日々で、とてもできないが、現役を終えた時はおそらく肉体的にボロボロで、これまたできない相談だろう。結局は昭和の生き方で終わるのだ。