免許の更新は今まで５０年近く牛窓の警察署でやっていた。ただ、今回、車線変更禁止区間で車線を変えて摘発されたので、県の運転免許センターで更新することにした。僕の記憶では、違反をした人は講義を聞かなければならなかったから、平日だと薬局業務に迷惑をかけてしまうことを懸念したのだ。講義を受けるとなると１時間やそこら薬局を空けることになるから、日曜日にやってもらえるとなると助かる。
まるでオートメーションのように順路を進まされて、１５分くらいでハイ出来上がり。新しい免許証を渡され、気をつけて帰ってくださいと言われたので、あっけにとられた僕は、「僕は進路変更の違反をして、講義を受けないといけないと思うのですが」と交付係に言った。するとそんな必要はないとのことで、再びあっけにとられた。ただし、いいあっけだから歓迎だ。滅茶苦茶肩の荷が下りた。
帰路の睡魔予防のために缶コーヒーを買って飲んでいたら、目の前に指名手配のポスターが貼ってあった。僕が若い時から親しんでいた人物もまだあった。そしてこんなにも未解決殺人事件が多いのかと驚き残念だった。それにしてもみなそれらしい顔をしている。街中で正面から来たら間違いなく道を譲りそうだ。こんなに長い間逃げているのかと感心するが、実際には死んでいる人もいるに違いない。法律で裁かれる前に運よく病気で死んだりしたら、野球でいうと振り逃げだ。警察に頑張ってもらって振り逃げは許すまじ。
おいしいコーヒーを飲みながら、見たくない顔を見ているとふと気が付いた。さっき交付された誰かの免許証の写真が、彼らに負けていないと。
