ベトナム人が自発的に運動をするのを初めて見た。
スポーツは、経済的に余裕のある国の特権なのかもしれない。もう20年近くベトナム人と親しくしているが、彼ら彼女らから、スポーツについての話題をふられたことがない。特に自分たちがかつて何をやっていたかと言うような話はただの一人を除いて聞かなかった。
その子はバレーボールをしていたというが、その片鱗は全くなかった。だから当時バリバリでバレーボールをやっていた僕は、彼女を誘わなかった。日本人の「嘗てやっていました」とはおそらくかなりの差があると思ったから。
一つのあいさつ代わりになる「昔何かやっていた？」も後進国の人には無情な挨拶かもしれない。
話を元に戻すと、一昨日から、僕が夕方のウォーキングを行うテニスコートに隣接した広い駐車場を、二人のベトナム人女性がジョギングで回り始めた。帰宅してすぐ、作業着姿でゆっくりと回る。ありえないいでたちでジョギングする姿に初めて見る人は驚くかもしれないが、結構二人は楽しそうだ。最初は話しながら走っているがそのうち寡黙になるから、結構負荷はかかっているのだろう。1日中立ちっぱなしの仕事だから、下肢の血液循環には良い影響を与えるだろう。
コロナで鬱積している毎日を過ごしているから、せめて体だけでも動かそうかと考えたのか、動かしたい衝動にかられたのかわからないが、スポーツ体験だって来日中の良い土産になる。農作業や工場勤務で基礎的な体力は日本人よりありそうだから、環境さえ整えば上達も早いだろう。和を重んじないところがあるから個人プレーに向いているきらいはあるが。
