未知との遭遇

    古民家の庭というより、周囲に広がっている土地の草を、シルバー人材センターの方々に刈っていただいた。うっそうとした荒れ地の視界が開け、4段の畑が一望できる景色に変わった。母の里に幼い時に預けられ、当時見ていた景色にそっくりで郷愁をそそられる。

 刈った後を、時に鋭く足底に刺さる竹の茎を避けながら歩いてみると、大きな穴がいくつもあった。これこそがイノシシがいた証拠だ。何を食べたくてこんなに多くの穴を掘ったのかわからないが、よほどの好物があったのだろう。ベトナム人に住んでもらっている古民家のまさに裏庭。そこに毎夜毎夜出現していたのだろう。僕も見たことがあるし、彼女たちも何度も見ていた。まさに庭先。危なかった。

 段々畑も含めてきれいに草を刈ってしまったから、これからは隠れるところがなくなり、庭まで下りてくることはなくなるだろう。未知との遭遇は危険を伴うからお互い避けたいものだ。