賽銭箱

 下世話な話で申し訳ないが、テレビニュースをボケっと見ていて気が付いた。ボケっと見ていて気が付くとは日本語の間違いみたいだが、何もすることがなかったからこそテレビを見ていて、ある言葉が耳に残ったのだ。
 3密を避けるのが至上命題みたいに毎日連呼されるが、初もうでの人数はそれを測るにはちょうど良いみたいで、多くの局が全国の有名な神社の初もうで客の人数を報じていた。耳に残ったから例として上げるが、例年出雲神社では毎年60万、東京の明治神宮では300万人くらいらしい。ニュースではその数が大幅に減るとういうものだった。
 初もうでの時に、あの巨大な賽銭箱に参拝者がどれだけのお金を入れるのか分からないが、もし一人が1000円お賽銭を投げ入れるとしたら、出雲神社では毎年6億円。明治神宮では30億円。ななななんと、3日間で30億円?
 初もうでのために、どれだけの人が関わって何を準備するのか知らないが、いったいどれだけの粗利があるのだろうと、テレビの前で反射的に考えてしまった。こうして間が開いて冷静になると、もっと下世話な勘繰りが働き、税金を払うのかどうかも気になった。今インターネットで調べてみると、ななななんと非課税らしい。
 なんだか聞かなくてもよいものを聞き、見なくてもよいものを見たような気がした。日本古来の風習を途絶えさせてはいけない、そんな声が賽銭箱の中から聞こえてきそうだ。