証明

 店舗の改装中のため、何もできないので、いやいや本来ならそれでも僕は何かするタイプだが、背部痛のために本当に何もできないので、友人の鍼の先生に頼んで治療をしてもらった。
 車で1時間かかるところだが、少しでも軽くなるならその距離など大したことはない。いつもなら二人の好きな音楽を聴いたり、やたら話しかけてくるのだが、今日は彼が最近知ったある人物の講演のテープを聞かせてくれた。話しかけてくることなくずっと流してくれていたので、いい子守唄になったのかいつの間にか眠りに落ちていた。夢も見ずにとても気持ちの良い眠りだった。
 結局3時間、僕は鍼治療を受けたのだが、彼曰く、足首から下肢、上肢、臀部から腰、背中までがちがちだそうだ。背中の痛みと同じくしてふくらはぎのだるさも大いに感じていたから、なるほどなと思った。軸足に体重をかけて立っているから体がひずんでいると言うことだろう。
 夕方帰ってから娘に、もうお父さんは薬を作れないかもしれないと訴えてみた。するとどうやら漢方薬の方も手伝ってくれるらしいが、新規の相談の方は断るように言われた。夏の肉体的にしんどい時期が過ぎたので、それ以降はパーフェクトに依頼にお応えしてきたが、確かに限界を超えている。相談内容でまだ見ぬ人の人物像を想像で作り上げ薬を作るのだが、それが難しくなりつつある。名店が味を落とさないために限定一日何人までとうたっているところがあるが、おこがましくも同じ選択をしなければならない。名店でもないのに気が引ける。早く完全復帰し名店でないことを証明したい。