迷惑

今日やってきたセールスの会社は、アニメのキャラクターを用いた子供用の風邪薬を作っている。販売元ではなく委託されて生産している製薬会社だ。もちろん自社で販売する大衆薬もいっぱい持っているから、工場をフル稼働させることが目的だと思う、機械を遊ばせておく期間を持ちたくないだろうことは容易に想像がつく。
 従来はインバウンドの影響でかなりの売り上げを記録していて、順風満帆だった。それがコロナの影響でそうもいっておられなくなったらしい。外国人頼みの仕事に甘んじていたから、急激な環境の変化に追いついていくことができずに、今は売り上げが3割ダウンしているらしい。例の受注生産の風邪薬はほぼ全滅。自社製品も苦戦を強いられている。
 彼の会社が作った風邪薬は、中国人の爆買いに支えられていたドラッグで売られていたらしいが、それがほぼゼロに近い。だからインバウンド目的に作られたドラッグは軒並み店舗を閉めたらしい。高い家賃と給料で成り立たないみたいだが、今までもうけ過ぎたお金はいったいどこに行っているのだろう。従業員をコロナが収まるまで経済的に支えられるお金をプールしていなかったのだろうか。オーナーの栄華な生活のためだけに使われたのだろうか。
 僕は日本人が中国人の金持ち風の人間に「へいこら」している姿を見たくなかったから、爆買い全滅は大歓迎だ。あの媚びた姿を見たくない。疫人が汚部やスカに媚びているのと同じように見える。彼も爆買いの恩恵を受けていた会社の人間なのに、僕と同じようなことを言っていた。
 単なる迷惑が金のなる木だったころに二度と戻ってほしくない。この程度で十分だ。数えきれないほどの星が降る秋の空を僕は待っている。