律儀

 もし山中先生の考察が正しければ、僕はぎりぎりセーフだ。昭和26年生まれからBCGの接種始まったというから、まさにドンピシャだ。腕にできた傷を皆で見せ合った記憶がよみがえる。
 コロナで亡くなる人が多いのは、イタリアやアメリカなどBCGの接種を行っていない国と重なるそうだ。日本でも亡くなった人で69歳以下は3人しかいないらしい。仮説の段階みたいだが、それが状況証拠的でもいいから裏付けされるのは心強い。
 職業柄マスクは欠かせないが、僕がマスクをつけるのは煎じ薬を作るときだけだ。それ以外の時は薬局で応対するときも、休日に出かけるときもマスクはしない。僕の考えでは「ほんの少々、病原菌に暴露され、発病するかしないかを数多く経験したほうがいい」と言う、素人のこだわりからだ。インフルエンザが流行っていてもマスクはしない。新型だからコロナは怖いのだろうけれど、いつかは風邪として誰もがかからなくてはならないのだから、早いか遅いかだけの問題だ。運よくかすかにうつされることで免疫を獲得できればそれに越したことはない。「かすかに」が成功するかどうかは運しだいだが。
 今日ある漢方の会社から使い捨てマスクを40枚頂いた。娘たちが介護施設に薬を届けに行く時の必需品だから助かる。従来は我が家ではいたずらにストックせず、ほしい方に分けていたのだが、我が家用が底をつきかけた時に思いもかけないプレゼントでびっくりした。配布先の一つとして僕の薬局に選んでくれたことに感謝だ。
 ところでそのマスクは、漢方薬の原料と一緒に中国から善意で送られてきたものらしい。中国人も律儀なところがあるらしく、先に日本からの援助のお礼らしい。面白いのが、中国人は日本政府に寄付しても庶民には届かないことを知っているから、こうして民間レベルで寄付してくれるらしい。金平糖は世紀の悪人だけど、汚部もまた世紀の悪人だってことを彼らも知っている。