退場

 ふと気になって、いったい僕が普通に摂っている蛋白質ってどのくらいなのだろうと意識してみた。というのは、最近とみに筋肉が落ちてきて、その上夏の体力が落ちてきたので、体に水分をためる筋肉が落ちたのではないかと思っていたのだ。
 昨日、一昨日で僕は6回の食事をとっているが、摂ったたんぱく質はゆで卵一つ、唐揚げ用の小さなエビフライ6匹、高野豆腐6,7個。それだけだ。あとは野菜少々。おかずが足らないから五穀米に辛子明太子のお茶漬け。
 われながらこれでよく1日13時間くらい働いているなと思う。薬剤師だからいくら肉体を使わないと言っても、立っているかパソコンを打っているかのどちらかの姿勢しかないから、結構腰や背中や首がつらい。これらも恐らく筋肉がやせてきたせいだと思う。米だけは食べているから糖質には困らないみたいで、頭はまだ働いている。
 僕は食べ物の値段を知らないから単なる想像でしかないが、これだと一月に5万円もあれば食事代が賄えるのではないか。田舎で娯楽もないし、家賃もいらないから10万円も給料をもらえばやっていけれるのではないかと思ってしまう。実際、国民年金で暮らしている人も多い。
 幼い時は戦後で貧しかった。大学に入って、たばこ代にみな稼いだバイト代が消えたから、110円の学食1日1回。あとは米に塩をかけて食べた。金があればカップヌードルをおかずに米を食べた。子供を育てていた時が一番まともな食事だったが、出て行ってからはまたなおざり。僕の人生の3分の2は質素。
 昔、土光経団連の会長が奥さんとめざしを食べている写真が紹介されていたが、そして質素な生活を礼賛されていたが、わざわざ質素にする人と、質素にしかできない人は似て非なるものだ。僕は後者の人たちといつも同じ地平に立ちたい。当然前者に属する人たちとはそもそも接点がないからあえて言う必要はないが、接していて楽しいのはやはり後者の人たちだ。
 がんばる理由を探さないと頑張れない体調になってきたが、蛋白質不足では即「退場」心の筋肉まで落ちてしまいそうだ。