責任重大

 楽しくて仕方ない?楽しいばかり?どちらの言葉だったか忘れたが、今日手伝ってくれた薬剤師が言ってくれた言葉だ。隣の県から2週連続で手伝いに来てくれた。もう10数年、僕と同じ漢方研究会で勉強してきた夫婦の奥さんのほうだが、知識は十分蓄えてきているが実際に漢方の知識を生かす場面に出くわす機会が少なかった方だ。
 娘夫婦が保護犬の世話で忙しくしていて、漢方薬まで手が回らないので困っていたら、ふと彼女のことを思いついた。広島の研究会に、ご主人と僕たちの共通の大先輩の先生と3人で来ていたのに出くわして、ここぞとばかりお願いしてみたら、土曜日に限って手伝いに来てくれることになった。
 本来調剤薬局専門の薬剤師だから、漢方薬に日常接するのは病院が処方するツムラの製品ばかりだ。僕らの勉強会では煎じ薬を中心に勉強してきたから、製品化せれたものではつまらないだろう。実際に多くの煎じ薬の調剤をお願いしているが、本人が言ってくれたように楽しく手伝ってもらえている。
 薬を作ってくれている間、僕は丁寧にメールや電話相談の方のお相手ができる。焦る必要もなく濃い内容の情報の交換ができる。こんなに気持ちの余裕ができるのは、同じ知識を持っているという安心感からだろう。慣れてくれば新しくやってくる患者さんを最初から任せて、相談に乗るような経験も持たせてあげたい。僕らはやはり人さまのお役に立って初めて喜べるのだから。調剤薬局では経験できないそんな喜びを共有できたらと思う。
 いずれご主人と漢方薬局を開くのが夢たみたいだが、なかなか漢方薬局を生業とするのは現代ではむつかしい。僕は挑戦したらと尻を叩いてきたが、なかなかきっかけがないとできないものだ。ヤマト薬局の日常を見て、挑戦する気が増すのならうれしいが、やる気が失せたでは申し訳ない。そのためには多くの方に喜んでいただいているという実績を目の当たりにしてもらうしかない。責任重大。心も10代。体は80。