寿命

 「風邪薬をこしらえてえ!」と言いながら入ってきた男性の言葉遣いに何か懐かしさを感じた。当然風邪薬を作ってという意味だが、僕はその語感の優しさから、牛窓弁かなと思った。少なくとも岡山弁?最近ほとんど耳にしなくなった言葉だから、そう思ったのだが、そう決め付けるのもいまひとつ自信がなかったので一応インターネットで調べてみた。するとなんとしたことか全国区ではないか。
 所によって言い回しに若干の変化はあるがれっきとした標準語だった。その言葉を使った男性も70歳を過ぎていたから、恐らく年代が上の人たちが使い慣れた言葉なのだろう。ほとんど耳にすることがなかったせいでとても印象深かったが、この件で、言葉にも寿命があるのだと気が付いた。生まれたときがあり死ぬときがある。