英語

 飾らない美しさに勝る美しさはない。そんな女性がこの2年の間結構やって来てくれた。御自分の病気の場合は数えるくらいで、もっぱら御主人の薬をとりに来るほうが多かった。僕は勿論、娘も同じ感想を抱いていて、なんて気取らない美しい人だと思っていた。ほとんど白髪に近かったが、とにかく品に溢れている。かもし出すのではなく、溢れる感じだ。作意が全くない。本人はごくごく普通にしているのに、その気品に圧倒される。別に経済的に極端に恵まれているわけではない。大都会から御主人のリタイアとともに牛窓に帰って来たが、もともとは牛窓育ちだ。僕より少し歳が大きいと思うが、ひょっとしたら中学校で重なっていた可能性はある。  僕が牛窓に帰った頃から僕の薬局をしばしば利用してくれている男性がいる。その男性の一番の特徴は絶対人を褒めない事。それを承知で、その女性の話をしてみた。と言うのは家が近所だからだ。するとその男性は開口一番「あの人はいい人じゃ、品があってきれいじゃろう」と、全く僕と同じ単語を使って褒めた。これには驚いた。彼が褒めるとなれば、半端ではない。誰もが認める美しさ、品なのだろう。  こうした圧倒されるような品性に遭遇すると「美しい」と言う言葉を使いたくなる。何気ない言葉遣いや動作に感銘を受ける。この種の人に、数年に1度お目にかかることが出来れば幸運だ。  御主人の体調不良がきっかけで僕の薬局を利用してくれるようになったのだが、ただ普通に買い物をするだけで教えられるところが多かった。英語で言うとクールが当てはまるのかもしれない・・・(英語が出来ないのにおこがましいが)