元気

 勉強会解散の食事会の最後に先生の言葉を頂いたのだが、印象的な言葉が今でも耳に残っている。講義の時に何回かお聞きした言葉が、先生の実体験に基づくものでもあるように感じた。勿論多くの方に希望を与え続けてこられた経験に基づいているのだろうが、ご自分の体験も強く投影された言葉なのだろうことに気付かされた。
 「この年齢まで元気で仕事を続けることができて・・・・・」先生は数年前にあるご病気をされ、勿論それを克服されてお仕事に講演にと活躍されているが、その時期を含めて全てのときを元気と表現されたように思えたのだ。今が元気ではなく、ずっと元気だと言われたように思えた。先生はご自分の病気ですら、漢方の勉強のテーマにしてしまうくらいの方なのだが、常々元気の定義を「食べれて、出せれて、眠れれば元気でしょ」と表現されていた。一見禅問答のようだが、多くの悩める人たちを見てお世話して行き着いた結論だと思っている。僕もその定義を大いに利用させていただいているが、そう思えたら、病気が随分と軽く思えてくる。取り返しがつかないような恐怖に教われることなく、前向きに対峙できるようになる。とても簡単な定義だが、悩める方々にとっては、解放感に富んだ魔法の言葉に思えるだろう。無理をして戦わなくてもいいような柔軟な処し方を見つけることができるようになる言葉だ。
 その定義で言うと僕も元気だ。目が覚めると今日はどこが痛いかなと言うくらい体を痛めているが、働く意欲がそれで阻害されたことはない。元気のテーマが満たされている間、働いて現代医療の隙間で苦しんでいる人のお役に立ちたいと思った。