仮病

 ある方からの過敏性腸症候群の相談文に「1年くらい病院に通って、結局医師から最終的に浴びせられた言葉は仮病ではないのと言うものだったと」書かれていた。数軒病院を回り、色々な検査をし投薬を受けても異常がないのだから、仮病だと言ったのだろうが、ご本人にどう響いたのか分からないが僕には、居直りに思えた。医者だからかなりの自信を持って望んだのだろうが、効果が全くなければ、申し訳ないなと思うところを、逆切れしたようなものだ。患者に当たったという形ではあるが恐らく自分がふがいなかったのだろう。
 内視鏡検査などもしてもらったらしいが、勿論綺麗なものだった。だとしたら医師にとってもうすることがない。ここで心療内科的なアプローチを受けるともうアウト。折角の個性が病気に一瞬にして早変り。さっきまで個性だったものが、精神安定剤の投薬の対象になる。最近はどうも個性では見逃してもらえないらしい。精神的なトラブルも、網の目のような細分化された病名のおかげで、どこかへちゃんと分類してくれる。分けが分からなくてもそんな経験をすればやはり病気だと納得してしまいそう。
 今日の相談者がいつか完治して、仮病扱いされた医師の前に立って欲しい。その時医師はなんと言うのだろう。プライドが邪魔をして謝ることすら出来ないのではないか。それとも仮病を使って会ってくれないかな。