対岸

 対岸の火事と言うより、太平洋の向こうの火事だ。道路を横切る溶岩の映像を見たら、こんなことが起こるのかと言うほどの衝撃だが、それを承知で住んでいる人たちだと聞いて、さすがおおらかな感性の持ち主達だと思う。
 ところが実際にそういった現場から離れた人達でも、溶岩とともに吹き出る灰などで気管支をやられる人が多くて、咳き込んでいる人たちが多いそうだ。その中の一人が今日正に僕の目の前に現れた。ニュースの映像の中から飛び出してきたようなもので、興味があったので色々なことを教えてもらった。その女性は一昨日ハワイから来たそうだが、「皆、私と同じような咳をしているんです」と言った。この皆がどの程度の割合か分からないが、「離れている私達のところでも灰が降って来て昼も夜も急に咳の発作が出て苦しい」と訴えた。
 アメリカは医療が進んでいるから、どんな治療が施されるのか興味があったから尋ねてみた。すると意外や意外、治療薬がないから水を飲んでおきなさいといわれるそうだ。さすが合理主義の国と認識を新たにしたが、ほかの病気だったらやはり日本と同じで沢山薬が出されるらしい。その女性は現代薬があまり好きではないらしいが、さすがに水を飲んで耐えるというのも納得が行かなくて帰国したついでに友人に連れられてやってきた。
 現代医学的に見たら耐え忍ぶしかないと言われても、漢方的な見方に立てば解決方法が見えてくることもままある。もし僕が作った漢方薬が効けば竹やりでB29を実際に落とすようなものだ。(たとえが古すぎて分からない人が多いかな)高度な医療が発達しながら、あまりの医療費の高さから病院にかかれない人が多いと聞くが、もし僕の漢方薬が効けばそういった人達にも朗報だ・・・と言ってもどうしようもないが。