屈辱

 薬を取りに来た女性から教えてもらったこと。正しいかどうか分からないが、彼女が職安で経験したことを教えてくれた。  そもそも今は職安なんて言わないのか。ハローワークと言うのかな。「こんにちは、お仕事さん」なんて訳すと、なんとなく「仕事がなくてもいいじゃん」なんて気にもなるが、ネーミングの変更は世間に仕事がないことを覆い隠す目的もあるのだろう。役人の考えそうなことだ。正社員でない人がわんさといる時代にして、職業安定所などとはとても言えないだろう。職業不安定所、職業的格差追認所などと言う名前のほうが現実を反映している。  ところで今言われている求人倍率は、派遣で働いている人も正規の人間と同じようにカウントされるから、実際にはもっと低いと思うと言っていた。求人倍率は、岡山市、その他の市、郡部と次第に下がってくるとも言っていた。  伝えられるところによると、韓国では上位10%の富裕層が国の45%の富を握っているらしい。この国にそういった計算がされているのかどうか分からないが、結構同じような数字が出るのではないか。そして正に世界中でそのような傾向になっていると思う。働いて物を作って金を稼ぐのではなく、金が金を生み出す経済が大手を振って歩く時代だから、情報量が少ない庶民に富は回ってこない。富は、まるで吸い付けられるかのように富裕層の周りに集まってくる。  持てない者たちはこのままずっとその地位に甘んじるのだろうか。いつか不平を声高く叫ぶ日が来るのだろうか。ありとあらゆる機関を独占する者達にどうやって立ち向かうのだろう。或いは抵抗の苦手なこの国の人間は、永久に飼い犬よろしく餌をあてがわれて尻尾を振り続けるのだろうか。屈辱を屈辱でしか処理できない屈辱が蔓延を始めていることに気がつかないのか。