医学論文

 医学論文の中に「子供がテレビに殺される」と言うタイトルのものがある。さぞかし、現代の子供達の成長にテレビがどのくらい悪影響を与えるか警鐘を鳴らすものと思いきや、単に倒れてきたテレビで子供が死ぬ可能性があるから気をつけてってものだった。  実例として挙げられていたのは、2歳の女児。自宅で心肺停止の状態で倒れているところを発見された。27インチのブラウン管テレビの上に乗ろうとして、テレビもろとも床に落ち、致死的な頭部外傷を呈し、くも膜下出血を起こしたらしい。なお、テレビ外傷は1~3歳児に最も多いとされていて、軽い液晶テレビが普及してきた近年では、ブラウン管テレビよりも落下しやすいという側面から、液晶テレビによる外傷の頻度が増えているそうだ。  医学論文にも僕程度の能力でも書けるものが時に紛れ込むのだと安心したが、実際にテレビで殺されているのはこの国の大人達だ。ひょっとしたらお年寄りなど皆殺しにされているのではないか。政権に擦り寄るテレ媚のくだらない情報をよほど選別しないと、一億玉砕を強いられそうだ。人の上に人を作らず、人の下に人を作らずと、幼い時に覚えた価値観など、新支配階級モドキの奴等にいとも簡単に蹂躙される。人の上に人を頂き、額づきおこぼれちょうだいし、人の下に人を何とか作りやっと自尊心のバランスをとる。この程度の精神では既に精神は重体だ。殺される一歩手前で、それに気がつかず、ピエロを演じている。まるで悲しい顔をしたピエロだ。微笑むことにすら怯える哀れなピエロだ。