春をもう何年も楽しんだことがなく、むしろ恨めしい季節だったけれど、今年は何十年ぶりに春を楽しめそうと言ってくれた人がいる。通年性鼻炎の方で、春は花粉症も重なり地獄みたいだ。確かにステロイドの内服しか症状を軽減できないとしたらかなりのものだ。行き着いているといっても過言ではない。それが漢方薬でかなり軽減して上記の言葉を頂いた。  僕も気温以外春を有難がるタイプではない。確かに気温が上がって筋肉が柔らかくなると凝り症状が楽になるからそれは歓迎だが、特別春の出来事を楽しむタイプではない。いくらテレビで桜を煽られても、別にそれを楽しもうとは思わないし、今日も有名な後楽園の桜並木を、時速60kmで走り抜けた。一部花見客による渋滞に引っかかり、桜並木を歩く人より遅いスピードでろのろ運転した区間もあったが、至近距離にある桜を見ていない。  それよりも、母を施設に見舞うために、玉野市の山間を走ったときに、山の上に、或いは中腹にぽつんと咲く桜のほうが眼に入った。決して美しいから目に入ったのではない。緑の中にぽつねんとピンクが冴えるから自然に目に入ただけだ。むしろそれらを育む山自体の生命力のほうが僕には印象的だった。桜の花びらに感謝ではなく、そびえる山に感謝だ。  桜を見るために外国人が来日するらしい。本当かと思うが、もしそうなら、よほど上手い宣伝をしているのだろう。放射能ダダ漏れでも、アンダーコントロールと言う馬鹿がいるのだから、この手のものは得意だろう。いずれ今の倍の観光客を誘致と目標を定めているらしいが、それで何を得るのだ。彼らが落とす金か、彼らが落としめる風紀か。桜で洗脳され、放射能で洗脳され、戦争で洗脳され・・・・右向け右、全体止まれ!