留学

 海辺の学校に国内留学しても「山村留学」と言うのだろうかなんてことを思いながら、機器を使って牛窓東小学校の環境調査を行った。  先週後半から町内の学校を順番に回っているのだが、東小学校の環境は抜群だ。過疎の町には珍しく一昨年新築されたのだが、さすがと言えばさすがだ。何から何まで、と言っても僕が調べるのは、二酸化炭素濃度や気温湿度、照度、放射能くらいなものだが、放射能以外はとても考えられていて、非の打ちようがない。学校内での一日は快適に違いない。  それに加えて、一歩校外に出ると漁港が広がっていて、漁を終えて一休みの漁船がたくさん係留されている。小さな人口島では水揚げされた魚が早速加工され芳しい香りが漂う。その沖には灯台、そしていくつかのまるで牛窓を守っているかのように配置された島々が浮かぶ。  勿論これらの全ての光景と人々の営みは校舎の3階にでも上がれば手にとるように見える。おまけに前島にもたれかかるように見える小豆島や、遠く四国の山々も見える。  水と空気と山々と島々、海に空に星に夕日に、段々畑に咲く花達、2メートルの接近を許す鳥達、自然を表現するパーツは整っている。後はそこで育つ新たな命だ。山村留学に対してどのような言葉が用意されているのか知らないが、海辺の学校に留学してもおかしくない。海浜留学、漁港留学、ママカリ留学、底引き留学・・・