勇気

 場所によるがいずれ高速道路の最高スピードが120kmまで許されるようになるらしい。鉄砲の弾が時速何キロメートルで飛ぶのか知らないが、鉄砲の弾の重量とスピードを掛けた数字と、車の重量とスピードを掛けた数字のどちらが大きいのだろう。ひょっとしたら、車のほうが勝ったりして。仮に勝たなくても、それに近いような数字が出たら、車の形をした鉄砲の弾が道を走っていると思えばいいのだ。  出来れば免許をとって、それを返納するまで誰も傷つけずに過ごしたい。出来ることが限られているから自信を持って乗り切れると断言はできないが、せめてスピードは法廷速度まで、車間距離は必ず止まれる距離、睡眠不足で運転しない、時間に余裕を持って出発するなどは実践できる。それで何か事故に巻き込まれたら、ほとんど相手に非があるだろう。  僕も時々高速道路を利用する。1人で通るときはあまり高速を走っていることを意識しないが、他人様、特にかの国の若い子達を乗せているときはかなり緊張する。家族の期待を背負って来ている子達を傷つけてはいけないこと、僕に何かあっても代わりの運転手がいないことが大きな理由だ。7人を乗せられる車は車高が高いから高速道路には向かない。横風をしっかり受ける。だからゆっくりと左側車線を走る。4人を乗せることが出来る車は逆に高速道路には最適の車らしいが、恥ずかしながら軽四にどんどん追い越されてしまう。一歩間違えば絶対助からないと思われるような小さな車にどんどん追い抜かれる。勇気がある人達だなあと感心する。  高速道路では、追い越され上手もかなり必要なテクニックだ。僕に危害を与えないでと先を譲るテクニックが危険から遠ざけてくれる。時に新幹線かと思われるようなスピードで追い抜いていく車があるが、これからはそのような車が増えるわけだ。前方より後方に気をつけなければならないってことだ。  交通規則の改正?改悪で勇気ある人達が増えるのだろうが、出来ればその勇気を何か世の為人の為になることに使って欲しい。強いものに立ち向かってこそ、弱いものを身の危険を顧みず救ってこそ、勇気と呼べる。この国に勇気ってある?