東西〇北

「こんなユニークな薬局があるとは知らなかった」と2週間後の今日言ってくれた。時々牛窓には来ていたが、ヤマト薬局の前を通り過ぎていただけだったらしい。ふと寄ってみようと思ったくらいの軽い気持ちだったみたいだ。そこで薬局の雰囲気から長年の懸案である「夜、足がうずいて何回も目が覚めて、寝るのが怖い」と言う症状を相談してくれた。ここ数年のうちに足がだんだん硬く太くなり、正座も出来ないらしい。見ると立派な静脈瘤があった。そこで煎じ薬と粉薬を飲んでもらうことにした。そして2週間後の今日、足が少し細くなり正座が出来る、夜足がうずくのがなくなった、こむら返りもしなくなったと驚いたように報告してくれた。2週間を待たず、1週間目くらいにはうずきは止まったらしい。煎じ薬を作る間、薬局の中を色々見ていたらしくて、手の荒れに使う保湿剤1号とあかぎれに使う紫雲膏も持って帰られた。その評価が「ユニークな薬局」だが、これは僕たちスタッフにとって最大の褒め言葉なのだ。僕の薬局は特定の医療機関の下請けにはならないようにしてきた。言いたいことが言えないようでは単なる金儲けでしかない。他人の病気を利用してそんなことはしたくないから、ダメなものはダメと言えるスタンスは確保しておきたかった。そうでないと仕事が空しすぎる。医療機関にぺこぺこしてお金をもらっても意味がない。娘もその褒め言葉を聞いていたが、やはり嬉しかったようだ。次の世代もその線で行ってくれると思う。ある県会議員が嘗て言ってくれた「こんな過疎の町のヤマト薬局が潰れないのは、岡山県の七不思議です」と。できればその七不思議をずっと維持したい。何故なら、南は海だから元々ありえないが、東西〇北、ユニークな薬局は半径何十キロ、全部廃業して無くなっているのだから。