耳年寄り

健康に関する雑誌や、テレビ番組、勿論インターネットからも大量に健康情報が入ってくるから、多くの人が耳年寄りになっている。それはそれでいいのだが、なかなか本人にとって必要性がある情報かどうか見極めるのは難しいみたいだ。はやり廃りも激しくて、昨日の正論が今日のデマと言うようなことは日常茶飯事だ。  最近来た若いお母さんも、体調不良がなかなかお医者さんで改善してもらえないから悩んでいた。そこで当然若いから自分で積極的に情報を集め何とか早い改善を目指している。そこで彼女が見つけたのが腸内細菌の環境悪化だ。何かの理由があって、それは当然食事やストレスだろうが、腸内の善玉菌が減って、悪玉菌が増えているのではないかと相談された。  僕は見るからにスマートで色も白くお仕事もこなしているその女性を見て、腸内環境が悪いようには感じ取れなかった。もっと排便に不都合があったり、頭痛や肩こり、当然皮膚のくすみなどがあれば、それを疑ってもいいのだが、何も結びつくものがない。そこで僕は、その女性の身体に問題があるのではないと思った。むしろ新興住宅に念願の我が家を立てたばかりだから「町内環境」に問題があるのではないかと尋ねた。一瞬間は空いたが、しゃれに気がついた彼女は大きな声で笑った。笑い声が思いのほかに大きかったので、彼女の体調不良からの脱出がそんなに難しいことではないと感じた。