移植

 大便を移植して、腸内環境をより健全にさせようと言う研究が行われているらしいが、理屈がすごく分かりやすい。これなら素人でも発想できそうだが、素人では説得力もないし、科学的な証明も統計も取れないから、所詮発想だけに終わる。  現代人の腸が汚れるだろうと言うことは容易に想像できる。高タンパク、高カロリー、砂糖、少ない繊維など、本来の動物としての人間に照らし合わせれば、腸の中はかなり不自然だ。おまけに抗生物質信仰がいまだにあり、ちょっとしたことで抗生物質を飲み?飲ませ?腸内の善玉菌さえ軒並み殺してしまうから、細菌嚢はバランスを失ってしまうはずだ。現代の社会と同じで、また政界と同じで、悪がはびこる。  さて、移植された有能な菌たちが、よその世界で活躍できるのだろうか。そして仲間を増やすことができるのだろうか。善良な人たちが作る小さな集団が似非メディアでいくつも紹介されるが、今だ悪がはびこる姿は変わっていない。腐敗した社会が、いや腸が孤軍奮闘で終わらなければいいがと、善玉なるものたちの負う宿命に思いをはせる。