浅はか

 どうりでよく来ると思った。何回か経験している人は耳鼻科を素通りして来るから余程僕の漢方薬が効くのだと思っていたが、病院の薬が効かないと言うことの裏返しでもあったのだ。  「急性副鼻腔炎に対するアモキシシリン10日間投与の効果を、プラセボ(偽薬)との比較で検討した無作為化試験の結果、投与開始3日後、10日後での症状改善は認められなかったことが報告された。急性副鼻腔炎への抗菌薬投与に関するエビデンスは乏しいものの、医療現場では広く投与が行われている。本報告は、米国・ワシントン大学総合医科学部門のJane M. Garbutt氏らが、約170人について行った無作為化プラセボ対照試験の結果で、JAMA誌2012年2月15日号で発表した。」  こんな記事を今日配信されて来た製薬会社のメールの中に見つけた。日本中で、いや世界中でどれだけの人がこの実は効果がない治療を受けているだろう。抗生物質で治っていたと思っている人のほとんどは、実は自然治癒力で治っていたことになる。薬が大したことがないと思うのか、人間の自然治癒力が凄いと思うのか人それぞれだが、僕は後者の考え方に近い。そうしてみると漢方薬もずいぶんと力がある。抗生物質みたいに抗菌作用はないが、排膿作用は結構あるから、体外に膿を排出して治すことが出来るのだろう。風邪をひくと必ず副鼻腔炎蓄膿症)になる人があるが、漢方薬で腸内の善玉菌を守りながら治すのがいい。抗生物質で善玉菌まで攻撃したら細菌のバランスが崩れてそれこそ不健康になってしまう。  古人にどれだけの知識があったのか分からないが、たいしたものだ。これだけ科学が発達してもかなわないものを確立していたのだから。進化したように見えても頭の構造はほとんど同じなのだろう。寧ろ退化している可能性だってあるかもしれない。生きるだけで必至だった古人の方が余程切実に知恵を働かせていたと思う。欲だけが動機の現代人は如何にも浅はかだ。