さぬきの鼓響

 香川県の和太鼓のレベルはかなり高いと思う。それが証拠に、今日詫間町で行われた「さぬきの鼓響」と言う和太鼓コンサートに出演した7つの団体は、どれも上手だった。もっとも持ちねたの最高のものを出してきたのだろうが、そのできばえはどれも素晴らしかった。言うなればどのチームも、岡山県で恐らくダントツで上手な備中温羅太鼓に匹敵するといっても過言ではなかった。印象をメモに取っておかなかったのを悔やまれるほど、どの団も上手かった。  特に印象に残ったのは、「女流和太鼓響音」の女性二人による大太鼓の競演だ。大太鼓ともなるとやはり筋骨隆々の男性のものと思うが、そして実際にほとんどの団がそうだが、このチームの二人は決して男性に見劣りしなかった。女性でも大太鼓をここまで勇壮に打てるんだと感激した。  「和太鼓集団響屋」の演出は、勿論太鼓の技術があってのことだが、優雅な華を思わせるもので、かの国の若い女性達がとても喜んでいた。視覚的にも大いに洗練されたものだった。  力強さで言うと「善通寺龍神太鼓」が圧巻だ。だが力強さのほかに実は正確さと、技術もハイレベルで備わっている。聴き手を圧倒している。聴き手の全員が寄り切られている。  僕は運よく会話を2度交わしたことがある縁も手伝って「和太鼓集団 夢幻の会」が大好きだ。少年少女で構成されているのに、テクニックは大人顔負けだ。迫力も十分ある。ソロをふんだんに取り入れ、演出も素晴らしい。中心でやっている数人はぜひプロに進んで欲しい。その素質は十分感じられる。おまけに小学生の小さな女の子と男の子が担当している鐘がまことにかわいい。飛び跳ねるように、リズムをとる姿が愛らしい。それらの総合力は、大人の集団に混じっても全く見劣りがしない。プロの「志多ら」の教えを請うているのが実っている。秋に行われる夢幻の会のコンサートが待ち遠しい。又香川県に行ける。  さて、今日の圧巻はゲスト出演の「山部泰嗣スペシャルユニット」の演奏だ。太鼓の山部はプロはここまで出来るんだと驚愕の演奏だったし、普段聴いても耳に残らない尺八と津軽三味線も心地よかった。かの国の女性をして、「その音楽に恋をした」と言わせるほどのものだった。太鼓お宅の僕でも驚きの連続だった。  朝7時半に出て、夜の7時半に帰ってきた。12時間の贅沢だ。あくびが止まらない位実は疲れているのだろうが、あの感動のためにはこのくらい。