造語

会話は順調に楽しく進んでいたのに、その一言が挟まったばっかりに、違う方向に進んでいることに気がついた。なんとなくちぐはぐなのだ。もうこの辺で整理しておかないと分からなくなりそうだから、彼女に尋ねた。僕は「かんぐる」とか、「くぐる」とかの意味にとってその後の会話を続けていたのだが、僕は東に彼女は西に向かっていた。 僕の問いに対する彼女の回答は予想を超えていた。いやまったく別世界の発想だった。答をひらがなで書けばいいのか、カタカナで書くべきか。牛窓も田舎だが、岡山市民といえども彼女の家があるところは同じ田舎だ。どうもこのギャップは地理的な要因によるものではないらしい。となるとやはり、親子ほどの違いがある世代間ギャップだろうか。はたまたいつもの機械音痴のせいだろうか。  職場で彼女が上司にあることを説明したときに、その上司はその内容についてあまり知らなかった。そこで彼女が言った言葉が「あとで、ググッてくださいよ」だった。これは正直まったく分からなかった。同じ日本人だからなんとなく一言くらい抜けても後で理解の穴埋めくらい簡単に出来るが、正直これはわからなかった。「かんぐる」が僕にとって本命だったから、マイナスのイメージを持った。「くぐる」となるとまったくの方向違いを起こしてしまいそうなくらい本質とずれてくる。 彼女は僕の質問に丁寧に答えてくれた。と言ってもグーグルの一言を聞いた時点で僕も意味を理解できたのだが。日々、考え方などあまりギャップを感じることはないが、さすがにこうした造語にはついていけない。でもせっかく覚えたのだからこれからは身につける為に乱発してやろうと思っている。何かあったら「ググッて」と言う。でもあまり僕が乱発すると「グズッて」いるように聞こえる。