食パン

 「こりゃあ、おえん」由美かおるが演じる水戸黄門の中の「おえん」ではない。岡山弁で「これはだめだ」と言う意味だ。  普通の食パンの3倍以上の値段。それよりも、あの美味しいホテルの食パンと至るところでうたわれているパンよりさらに高いのに、この味では「おえんじゃろう」  日曜日、岡山からの帰り道、あるスーパーに寄った。その中に入っているパン屋さんで普通なら100円チョットの食パンなのに、400円もするパンが目に入ったので買ってみた。あのホテルのなんとかとうたっている食パンでも250円くらいだから、かなり高い。記憶が定かではないが、400円以上したと思うから、ホテルのパンの2倍近い値段と言うことになる。どれだけ美味しいのだろう、そしてその美味しさをどの様に表現できるのだろうと思って買ったのに、ソチの「檻」ンピックよりもっと地に着いた期待をして買ったのに、「なんじゃこりゃあ、全然おいしくないじゃないの、これじゃあ、おえんじゃろう」になってしまった。表現のしようがないのだ。100円台のパンと何ら変わりない。ホテルのパンとは格段に落ちる。値段が間違って印刷されたのではないかと思った。それとも故意なのかと、好ましくない憶測をしたりするが、そんな考えが浮かぶこと自体が不愉快だ。「なんでこんなに高い食パンを買ったの」とまるで子供のように妻に注意され、その買い物で良いことは何もなかった。  安いものを買って失望することはしばしばだが、その逆は珍しい。まあこれがパンくらいで良かったが、高級品だったらかなり悔やまれるだろう。一生に何度もないような買い物は慎重になってこんなミスは起こさないかもしれないが、お金を使うことに慣れていない僕は羽が生えるどころではなく、ロケットエンジンをお札につけている。