牛窓東小学校

 「これは勉強のモチべーションが上がるわ」と足を一歩踏み入れた途端僕は口走ったが、結局100歩踏み入れた状態でも、1000歩踏み入れた状態でも、1時間後1歩踏み出した状態でも思いは変わらなかった。  新築された小学校の教室内の環境調査を頼まれて今日、牛窓東小学校に行ったのだが、小学校とは思えない雰囲気に圧倒された。広い廊下、贅沢に設けられたそこかしこの空間、床や廊下や階段に木をふんだんに使い、ログハウスのようにも思える。又南側が大きく窓ガラスで開放され、視界を塞ぐものがないから、眼下に港、目を上げれば牛窓の島々、そしてその緑濃い島々の向こうに高松市屋島、そしてその又向こうに薄青く四国山脈かと思えるような背景を眺めることが出来た。 観光地に行き、ホテルの部屋に案内され、そこから眺める景色に感動するような錯覚に陥った。養護の先生が、設備についても細かく説明してくれたが、先生も言うとおり少し贅沢かと思えるような設備に仕上がっていた。そうした設備はもちろんだが、至れり尽くせりの出来映えに、子供達の、そして先生方のモチベーションが上がらないわけがない。 決して余裕があるわけではない瀬戸内市が、よくこんなに素晴らしい小学校を創ってくれたんだと不思議にも思える。ただこの斬新な学校を上手く利用して、牛窓の子供達がゆっくりと成長してくれたらと思った。あの教室から見える眺望は圧巻だ。いずれ東の方で又あの時と同じような人災が起こるだろうから、いずれこの教室は都会から逃れてきた子供達で溢れる。その時、この眺めがどれだけの子供達の心を癒してくれるだろうと、一人考えていた。