外国の侵略を防ぐ事だけが唯一の役目のはずの軍隊が自国民に銃を向ける。見ていてとても痛ましい。鎮圧の現場にいる軍人も、同郷の人々や、同窓、友人、ひょっとしたら家族にまで銃口を向け引き金を引いていることを知らないはずはない。ただそれを拒否することは出来ないから、心を鬼にして、あるいは無にして現場に立っているのだろう。 独裁者からやっと解き放たれたと思ったら、その独裁者を支えていた奴らが全面に出てきた。同じように悪いのか、より悪いのか分からないが、一部の特権階級がまるで将棋の駒のように人間を使って、自分の意に添わない人間達を虐殺している。もうまるで人間ではないように見える。狙いを定めて撃つ方も、撃たれる方も。金持ちのために貧乏人が二つに分かれて、金持ちに飼われた番犬が、金持ちに飼われることを拒否した人達を殺しているように見える。  哀れなのは敵味方に分断されているごく普通の人達。何の得もないのに、いがみ合っている。高いところで下界を見下ろしている奴らの姿を想像しないのだろうか。見下ろされ見下されている自分達の哀れに気がつかないのだろうか。  たった一度のかけがえのない人生を、こんなつまらない理由のために失ったり奪ったりして空しくないのだろうか。遠い外国の地から眺めていても空しさが伝わってくる。不条理の池の中にこれ以上の血を注がないで欲しい。