称号

 僕はこの福山雅治似の整った顔立ち以外自慢するものは持ち合わせていないと思っていたが、姪と話していてもう一つ自慢できることがあることに気がついた。 薬局を手伝って貰い始めて1ヶ月経つ姪が「足がむくんでだるい」と言った。なるほど彼女も立っている時間が長いからさもありなんと思う。娘も実は彼女のそれを心配していたらしい。立ち仕事をあまり経験していない人には確かに、重力の法則通りに体液が下へ下がるのは辛いと思う。で、僕ははたと気がついた。35年間、ほとんど立ちづくめだって事に。 20年間ほとんど毎日12時間働いた。今でこそ11時間に減らしたが、最初の10年間は元旦以外休まなかったのだから、ひょっとしたら僕は立ち仕事日本一くらい立って仕事をしていたかもしれない。それでもやはり若いのとやる気があったのとで、むくみやだるい感覚などはなかった。さすがに近年は嘗ての負荷がたたって、足に細い血管が浮くようになったし、だるさは、夏など半端ではない。余程耐えられないときは漢方薬を数日飲んで解決して、又懲りもせず立ち続ける。決して体力や体質に恵まれているわけではないが、立ち続けの仕事をこんなに長く、未だ現役でこなせられることに感謝だ。 これからどのくらいまで今と同じような内容の仕事がこなせられるのか分からないが、小学校や中学校の時から廊下に立たされ続けていた同級生などには、それだけ分遅れをとっているから、何としても遅れを取り戻さなければならない。日本一立ち続けている人間に贈られる称号は僕のものだ。これ以外とりたてて得意とするものがないのだから、しがみついてでも達成するぞ。