退廃

 昨日の話の続きのような内容だが、本当に適正な価格で土地を譲って頂いたので、僕も適正な価格で譲ろうと思う。と言うのは母の住んでいる家の敷地が70坪ほどあるのだが、母の後にそこに住む兄弟はいない。古いまま放置すれば町の景観に申し訳ないし、壊して更地にしておくのも意味がない。古民家が好きな人ならそのまま賃貸でもいいし、古民家が邪魔な人なら壊して更地にして自由に新築してもいい。選択肢はいくつか考えられるだろうが有効に使って欲しい。 牛窓にはこんな使われない家や土地がいっぱいある。東北や関東から放射能を避けて西に移動したい人は一杯いて、災害が特に少ない岡山県が人気なのだそうだが、牛窓は海岸に沿って延びる温暖な土地だから、北の国の人達には保養地みたいなものだろう。その上、3町合併して出来た瀬戸内市の中でも、市に対してクレーマーが一番少ない、いやいない穏やかな人が住む町という評価も高い。  都会の人にはびっくりするような安い値段で土地は手に入る。穏やかな人達だから近隣の人とのもめ事も起こりにくい。と言うよりむしろ飾らない、少々照れ気味の親切に出会うことがしばしばだろう。  皆さんも色んな媒体を通じて知っているだろうが、福島の若い女性が甲状腺癌の疑いがあると診断された。早速かの悪名高い医大原発事故との因果関係はないだろうなどとコメントしている。共犯者のマスコミは当然その様に伝える。チェルノブイリより早く影響は出ると予想している良心的な学者は多い。その予想どおりの進行の幕開けかもしれない。政治家や役人や企業や学者に、騙されて傷つけられて捨てられてはいけない。被害者になるために生まれてきたのではない。命を守りいつか反撃にでなければ家畜のような人生で終わってしまう。  温暖な地でゆっくりとした生活のリズムを刻み、特別大きな幸運も掴まず、特別大きな不幸にも出会わず人は暮らしいずれ朽ちていく。地球からすればほんの瞬きのような人間の一生で何を後生大事に抱えておく必要があるだろう。意味のない所有は退廃だ。