想定内

 ほんの時間つぶしのつもりだったのだが、2時間近く話を聞いていたように思う。まんまと術中にはまったか。さすがプロ集団。 
 数日前、テレビでリフォームの相談会があることを知った。コンベックス岡山で開かれるから、それだけでもう信頼できる。会社の名前もよく聞く住友林業と思ったがこれは勘違いで、住友不動産。今日担当者に教えてもらった。
 来年の6月に、ベトナム人を雇用している会社が牛窓から撤退するから、寮として貸し出している古民家に住み人がいなくなる。これは僕の想定内で、その古民家を売ってもらう理由に寮として使うのはうってつけだった。ほしくてほしくてたまらない状態だと足元を見られただろうが、景観を損ねないように使っていただけるならと、好意的に適正な値段で譲ってもらえた。
 さて、来年の6月以降何に使おうかと、本気モードで考えている。薬局以外の仕事をしたことがないので、何がいいのか何ができるのかなかなかいいアイデアが浮かばない。牛窓の役に立たなければならない、営業として成り立たなければならない。人と環境にやさしくなくてはならない。この条件を満たさなければやる意味がない。
 リフォームと言っても何ら知識がないので、知識を得ようと会場に行ったのだが、来場者一人一人に担当者がつき、テーブルをはさんで相談に乗ってくれるシステムだった。
その時点で冷やかし半分を捨てた。そして正直に訪ねてきた理由を話し、多くの知識を得た。
 最低でも1000万円くらいかかるらしい。それなりに仕上げようと思えばやはりお金は結構かかると知った。この歳になって出費はしたくないが、誰かがそこで生活でき、誰かがそこで喜び、何かがそこで起これば、価値があるのかもしれない。
 帰宅して早速妻に話をしたら、案の定大反対だった。思えば今まで僕の決断に賛成をしてもらったことなどない。これもまた想定内。