匍匐前進

    興味本位で覗いたリフォーム相談会で、ぐいぐいと攻められたわけでもないが、2週間後の今日現地調査が行われた.さすが大手、動きが早い。熱のさめぬ間にと言う作戦なのだろう。
 約束の時間に出てみるとすでに車が4台止まっていて、作業着姿の男性がこれも4人、僕が所有する古民家の庭で待っていた。誰か検査技師みたいな人が一人訪ねてきて、調べるのかと思ったが、その大げさ振りに少し引きそうだった。
 ただ、いざそれぞれが仕事を始めると、さすがだなと思うことも多く、このくらいしないと築100年近い古民家を安全に見栄え良く再生できないのだろうとも思った。
 住友林業の2級建築士が中心で事は運んだのだが、外部?下請け?の会社の二人の仕事振りが僕には興味深かった。
 若い一人は、この高さの縁の下に入れるの?と思わず傍で見ていた僕が口に出したほどのところを入って行った。床下を隠している板を外して、暗い中に防塵マスクをし懐中電灯を持って入って行った。もちろん入る時から土間に寝転んで軍隊の訓練のように匍匐前進で入って行った。去年の夏、異臭がしたからベトナム人が覗いてみたら、蛇が死んでいた場所なのだが。もちろん僕は黙っていた。冬だからさすがにいないだろうし。
 もう一人はこれとは全くまるで遊んでいるかのように仕事をした。彼は屋根の点検をする人と紹介されたが、一向に屋根に上がらないと言うか、梯子すら車に積んでいなかった。色々な場所から屋根を見上げているのは目撃していたが、前の持ち主が生前屋根をきれいに吹き替えていたから出番がないと思い手を抜いているのだろうと思っていた。
 ある時外に出てみると、彼のすぐ頭上にドローンが飛んでいた。おもちゃのように小さいものだったが、彼はそのおかげで屋根に上らなくて済んでいるのだ。思わず楽しそうなので僕も声をかけ、ベトナム人達を戸外に呼び出し、見せてあげた。すると彼が、出てきた子たちを空中から写し、それを見せていた。操作を尋ねたらとても簡単だと言っていたが、子供の方がうまくなるだろうと思えるほど「おもちゃ」だった。
 二人の対照的な仕事ぶりが印象に残った検査だったが、1年半後に何かの形で牛窓に貢献したいと言う思いは持続している。地に足がついたことを企てて、一人でもいいからそこで生活ができるといいなと思っている。

 

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