傾向

 恐らく今現在でも20人くらいの学校の先生達のために薬を作っています。目の前の中学校の先生の生活ぶりや、学校保健委員会に出席したときの先生方の様子を見ていても、漢方薬の出番が多いことの理由が想像つきます。毎晩9時頃僕は中学校のテニスコートを拝借してウォーキングをしていますが、ほとんどまだ中学校には電気がついています。保健委員会に出席しても先生方の僕達への慇懃に近い、僕達と言うよりお医者さんや歯医者さんに対してかもしれませんが、気の使いようが気の毒でなりません。ましてや相手がモンスターペアレンツ教育委員会となったら尚更でしょう。理不尽な要求に握り拳を作りながら頷いたりしなければならないのではないでしょうか。大津の事件を始め、諸悪の根元に向かって頭を下げるほど理不尽なことはありません。ただこれに対して味方してくれるのが、もっと浅はかでもっと危険な烏合の集団では、拠り所とする価値観まで喪失してしまいそうですね。  若い教師はあなたのように、身体的な苦痛を代償に命を守り、ベテラン教師になると、心を病むことで命を守り、校長を経験して辞めた教師は癌を発症しやすくなっています。 これが長年の漢方人生の中で掴んだ教師という職業のおよその傾向です。 当初僕は貴女の体力を付けてあげることを優先しようと思っていました。でも曲がりなりにあなたはモデルなみの体型で欠勤せずに頑張っていますから、心をしなやかにする処方を優先することにしました。絞め殺してやりたいような相手に貴女の人生の質を落として貰いたくないからです。社会のためにとても有用である人達がもし退場するようなことになれば、損失、いやそれこそ納得がいきません。僕は幸運にも公共の仕事には就いていませんから納得がいかないことはしなくてもいい自由があります。貴女を心身共に元気にすることで、その権利を行使してみたいと思います。