聴力

 「お父さん、耳聞こえるの?」と本気な顔で言うから何かあると思ったらやはり聞こえていなかった。小学生か中学生か分からないが、何十年ぶりの聴力検査だった。耳に関してはスカイマーク、いやノーマークだったから意外だった。右耳で高音が聞こえないみたいだ。そう言えば、検査してくれた看護士さんが音が聞こえたらボタンを押してくださいと言ったのに、なかなか検査を始めてくれないなと思っていた。ところがその時には実は検査は始まっていたのだ。聞こえないから間が空いたように思ったが、聞こえる人には充分聞こえる音がしていたのだ。それが証拠に、左側の検査はすぐに始まったように思えたし、小さい高音の音がしていた。心配してくれた?看護士さんが恐らく同じ検査を繰り返してくれたのだろうが「今なにも音がしていませんか?」と尋ねられると不思議と音がし始めるから人間って不思議なものだ。誘導尋問にすぐに引っかかってしまう。  色々な理由で胃カメラを飲むのが遅れてしまったから、いっそのこと人間ドックにしたらと言われたので、初めて受けてみた。数日前に人間ドックを受ける人の7%しか異常なしに当てはまらないと言う記事を読んだばっかりだったから、無傷ではおれないと思っていたがまさか耳とは。あの胡散臭い政治家達や殺人犯にも優る大罪を犯した東電や学者達の陰での会話など全て聞こえてしまう地獄耳をなくしては正しい判断が出来なくなる。早速今夜から耳が聞こえるようになる煎じ薬を飲んでみる。これ又まさか自分が飲むとは。