ダーウィン牛窓にやってきた。それも薬局の隣の駐車場の電線に。  僕は発見した。電線にカラスと一緒に並んで止まれる鳥と、止まれない鳥がいることを。 止まれる鳥はハト、ヒヨドリ、スズメ。止まれないのはツバメ。これは何ヶ月も観察し続けて得た貴重な結論だ。学会に発表しようか、それとも芸能界に入ろうか。  若干の距離はとっているが、下から見ると並んでいるように見える鳥たちは、恐らくカラスよりすばしっこく飛べるのだ。カラスに負けない飛行スピードか小回りの自信と実績があるのだ。遺伝子に組み込まれたものか、後天的に理解したことか知らないが、なんとでもなる世界なのだ。ところがツバメはそうではないらしい。あの飛行スピードがあればカラスに襲われる心配はないのにカラスの傍には絶対近寄らない。これは恐らく卵や雛を食べられ続けたことの勉強が、遺伝子に組み込まれているのだろう。親から子へと天敵であることが伝えられている。  人間社会の電線にもカラスは止まっていて、その傍で生きていける鳥も多い。僕は残念ながら遺伝子には組み込まれてはいないが、本能的に弱肉強食の関係は嫌いだ。ほとんどの世界がこの関係で成り立っているから、心から落ち着ける場所はなかなかない。こここそはと見つけたところも結局はその手でしかなく、裏切られることも多い。カラスの知恵も人間の知恵も弱き者にばかり向かうのでは品がない。