アンダルシア 女神の報復

ある青年への返信  弱音ばかりでもいいのではないですか。強がりばかりよりは嘘がなくていいでしょう。 僕も高校2年生で急転直下、青春の蟻地獄に堕ちた人間ですから、あなたが本来はポジティブで自意識過剰すぎるくらいだったというくだりが苦い思い出として蘇ります。ただその心理的どん底の数年間は、僕を大きく変えた歳月でもあります。もしあのまま挫折することなく上手く生きることが出来ていたら、今の僕の人格や個性はなかったと思います。 傲慢で、弱い人達の心も理解できなかったかもしれません。  僕が過敏性腸症候群に陥った人達に常に繰り返し言っていることがあります。それは決して無駄な経験ではないって事です。その果てしない孤独な症状を体験することによって 弱者への配慮が培われるのです。教科書には載っていない方法で道徳を身につけることが出来ます。現代社会ではなかなかそう言ったものを勉強し身につける機会がありません。 家庭に教育力がなくなったこと、あるいは大人の振りをした大人しかいなくなったことなどを考えれば良識を身につけるのは至難の業です。招からざる要因でそうした心理状態を学べたことは決して無駄ではないのです。  出来れば大切な場所で、大切な人の前で大失敗してください。あなたが偉大な業績を残すよりも、その方が本当に打ちひしがれている人を救うことが出来るかもしれませんよ。 完璧なあなたが誰を救うことが出来るでしょう。それよりももろいところを持ったどこにでもいる人のままの方が本当に救いたい人を救えるのではないでしょうか。あなたがずっこけて誰かが笑いをこぼす、最高の場面ではないですか。あなたが開く新境地です。青春は潔癖を求める時代です。でもそんな潔癖をある時捨ててしまえば、青春って結構怠惰でどうってことないものなのです。人生はダラダラと続いている冗談なのさ、それもとびっきり質の悪いものさ・・・・・力む必要なんてさらさら無いのです。この年齢になれば断言できます。当時の僕にもこのように力を抜くことを教えてくれる人がいたらもっと違った人生になっていたかもしれないと。例えば福山雅治とか、織田裕二と「アンダルシア 女神の報復」を作っていたりとか。 ヤマト薬局