完全

 客観的に自分の症状を掴んでいるではないですか。過敏性腸症候群は舞い上がらなければ治るのです。自分で「最悪のシナリオを考えてしまい病」ですから、科学的な判断を常に心がけることが大切です。人って勝手で、いい方にも悪い方にも最良最悪を、とくに自分がテーマの時は考えてしまうのです。いい方はロト6で6億円が当たることを本気で考えたりします。こちらの方がむしろ病気だと思うのですが。若いあなたに出来ないことなどないし、不可思議な症状などあるはずがありません。単なる戦いのポーズだけなのです。やりたいことは皆挑戦してください。僕らみたいにやりたいこともなくなる時期がいずれ来るのですから、今を大切に生きてください。法律を犯さないこと、弱者を痛めつけないこと。大まかな前提以外はルーズにいきましょう。僕はあなたがドロップアウトした経験が必ず生かされる時が来ると思っています。それもきっとそんなに遠くない時期に。負の経験こそが役に立てることが多いのですよ。 ヤマト薬局 ある青年に返事を書き終わったところで、幻聴で苦しんでいる、いや正確に言えば苦しんでいた若い女性がやってきた。もう誰が見てもそんなことで嘗て苦しんでいて外出すらできなかった人には見えないだろう。僕とごくごく普通に楽しく話をする。知性も理性もあるが、嘗ては何もかもに潔癖を期して自分にむち打ち過ぎていたのだろう。僕にはそんな人達が病気には思えないのだ。確かにみんな不快症状で苦しんでいるが、薬局に来て話をしているとそんな様子は全く感じられない。勿論当初は僕がお世話していいのだろうかと迷うくらいだが、一度心を開いてくれると全て「普通が」支配する。誰もが謙虚に求める「普通」がやってくる。 多くの過敏性腸症候群の人やウツウツの人やパニックの人と知り合ったが、僕の漢方薬が効いているのか、くだらない僕との世間話が効いているのかわからない。ただ言えることは僕の漢方処方も、僕との会話も、教科書とはかけ離れていると言うことだ。とんでもない処方やとんでもない話が飛び交うが、そのあげくとんでもない幸せが舞い込んでもらえれば許してもらえる。完全に克服したときの喜びは半端ではない。嘗て完全を期していた人達が完全でない部分を抱えて生きるってのはかなりのストレスなのだから。不完全さえ受け入れられる完全を期す不完全さを僕は完全な漢方薬と不完全な言葉でお世話したいと思っている。