さりげなく

A)普段はお腹の調子悪くないですよ。今日も百貨店へ買い物しにいってました。 B)この前は迷惑電話に付き合って頂きありがとうございました!笑 同期が辞めてから何故だか、今までより仕事が楽しいというか、何より上司との関係が良くなりました!あれだけ私ビクビクしてたのに‥ビックリです。まだまだこれから壁にぶち当たると思いますが、その時はまた迷惑電話します!笑 C)人の車になんとか同乗できました D)目が覚めてからオシッコに行くようになりました。便の回数も1回ですむこともあります  今日、過敏性腸症候群の5人の方とメールや電話でお話したが、上記は4人の方の発した言葉だ。つきあいの長い方から短い方までそれぞれだが、この人達のさりげない報告に安堵する。以前なら話の9割9分がお腹のことで、それ以外の内容は入る余地もなかった。思いに余裕がないから、自分の話題に集中してしまう。集中すればするほど治りにくいトラブルだから、悪循環だ。でも体調が良くなるに従って、言葉に余裕が出てくる。本題のようで本題でない、でもさりげなく症状を僕に伝えておく。力が抜けた言葉が発信される。  実際に会ったことがある人もいるし、声だけの人もいる。それぞれがそれぞれの場所でそれぞれの人間模様の中で、それぞれの風景の中で暮らしている。風が砂浜を渡り、尾根を上るようにさりげなく生きている人達がいる。何ら特別を持たず、何ら特別を求めず、さりげなく生きている人がいる。そうした人達とのさりげない出会いとさりげない別れを繰り返してきた。職業柄縁がないのが一番なので、そっと僕自身も消えるように心がけてきた。さりげなく食事の準備をし、さりげなくオフィスの椅子に腰をかけ、さりげなくウインドウショッピングを楽しみ、さりげなく会議の書類を作り、さりげなく車窓の景色を眺め、さりげなく店員さんに微笑む。そんな、さりげなくに保証された平穏こそを見失わないでほしい。