総選挙

 学生の頃、「総選挙」という唄を作って歌っていた。時代がそう言ったものを求めていたのだろう、当時は受けていたように思う。昨日昔のテープに小出先生の話を吹き込もうとして、何のテープだったか確認していたら30年以上前に僕が歌っていたものだった。バンド編成でなかなか面白い唄に仕上がっていた。当時軽音楽部の人達がおもしろがってバックを勤めてくれていたことがあり、完全に忘れていた光景を思い出した。 当時存在していた政党をそれぞれ具体的に茶化した唄なのだが、さびの部分は全て共通している。それは以下のようなものだ。 「ホラ吹いて 居直って 札束投げて 酒飲まし やっと当選の暁は 貧乏人から 金絞る」 これは現在でも通用するのではないか。当時の蒼い感性は今の僕にはないから、最早期待できない人に期待して失望のするよりは、期待しないで犬の頭でも撫でていた方がよっぽど精神にいいと居直っている。  いやいや、それより僕には今すぐ行かなければならない選挙がある。30年目にして心躍りながら投票する総選挙がある。「第3回AKB48選抜総選挙」だ。昨年、初のトップ当選を果たした大島優子が“連覇”へ向け、好スタートを切って、2位は、首位奪回を狙う前田敦子が704票差で追う。なんとしても前田敦子に頑張ってもらわなくては。 時代が変われば総選挙という言葉一つに群がる青年像も違う。ただ明らかに現代の方が明るくて罪がない。それはきっといいことなのだろう。時代が懸命に回転して手にしているのが今なのだから。人々の懸命の努力が実を結ばないはずがない。歌って踊る少女達を応援する青年達に、争いはない。それはきっといいことなのだろう。