股裂き

 こんなのどかな田舎町の疾患別順位で精神科領域が一番だとは驚いた。昨日、市の国保委員会に出席したときに教えてもらった。確かに心が病みやすい時代だとは思うが、癌や糖尿病、高血圧などを抑えて一番だとは思わなかった。田舎町でこうだから都会ではとつい想像してしまう。 昨年の同じ会合で、職員による説明がさっぱり分からないから、数字の羅列ではなく日本語で意味が分かるようにとお願いしていたら、なんと昨日渡された資料には初心者用に解釈が添付されていた。僕ら素人に役所の作った膨大な量の表が読めるわけがない。おまけに専門用語ばかりだから、余程帳面づけに精通した人間でないと説明について行かれないだろう。それが証拠に、医師も歯科医師も僕も全く発言しない。何か意見を言わなければと思うが、内容が理解できないから言いようがないのだ。その上少しばかりの日当が出るからよけい居づらい。全くのボランティアなら居るだけでもかまわないが、数千円いただけるばかりに分からないのに分かった振りをして椅子に腰掛けているのは辛い。 解釈をつけてくれたのは若い職員だった。ちゃんと昨年お願いしたことを覚えていてくれたことに感謝すると共に、公務員を否定しがちな風潮にちょっと違和感を覚えた。能力のある人が平均的にそろっているのだから、それらの力を使わない手はない。役所が誰のために奉仕するのかを明確にすればもっともっと市民の生活が改善されることは多いだろう。能力を否定するのではなく、発揮してもらえる体制こそが必要だろう。いや体制より心制かな?  瀬戸内市の場合、国民保険料を払わない人、払えない人、安くしてもらっている人を含めると5割に近い。恐らくこの町に特有な比率ではなく、日本中で近い値が出ているのではないか。こうしてみると年金ではないが近い将来破綻するのは見えている。良くある話のように、払える人が払えない人を養っていることになるのだが、払わない人を払える人が養うのには抵抗があるだろう。払えないのと払わないのとでは天地の差がある。食っていけないから捨てる道徳もあるし、飽食を求めて捨てる道徳もある。股裂の道徳が橋の欄干からダイブする。