才能

 「できたらこういう絵描くイラストレーターになりたいのです(笑)」という言葉に添えて、年賀状がメールで送られてきた。ページを開いてすぐに思ったことは「すごい」と「もったいない」。僕に技術があれば送られてきた絵(イラスト)をブログで紹介したいくらいだ。若い女の子が何かを叫んでいて、朝陽をモチーフにした背景が新しい年の初めに飛翔を期している。新しいページを開く瞬間が表現されている。なんて批評をしたら本人から怒られるかもしれないが、超素人の僕が作品を見ない人に紹介しようとしたらこんな表現になってしまう。デザインにパソコン、二重苦の僕が伝える手段を何も持っていないことが悔やまれる。ただもしそれを実現できても、著作権とかなんとか難しいのかな。 「すごい」と「もったいない」で表されるように、今僕の漢方薬を飲んで頂いている人達のそれぞれの個性や才能が生かされていないとすれば本当にもったいないことなのだ。僕が縁あってお世話している人達はほんの一部の人達で、全国ではものすごい数の人達の才能が生かされないで放置されていると思う。どんな理由で門が閉ざされたのか、あるいは自分で扉を閉めたのか分からないが、もったいなさ過ぎるのだ。才能を開花とまでは言わないが、生かせれないまま生産とは無縁の所で生活しなければならないとしたら、本人達も又もったいない。社会全体でも個人の歴史にとっても明らかにもったいない。一人の生き方が水面に投げられた石の波紋のように社会に広がり、波紋と波紋が無数にぶつかり新しいエネルギーを作る。特に将来長い時間を持っている若者には、特に期待する。苦手なことが多すぎる僕は、多くの分野の人達に助けられてきた。それらの人なしには実を言うと1日でも無難には過ごせないのではないか。高度に分業が発達してしまったから、人は人に助けられながらしか生きていくことは出来ない。どんなに権力を持っていても米粒一つ作る事は出来ないのだ。  自分を信じてとか、自信を持ってとか、言葉ではいくらでも言えるのだが、心優しき人達はそれが一番苦手なのだ。その事こそが彼らの一番の愛すべき個性だと思うのだが、それが行く手を阻む。僕には励ます言葉を言う資格もないし、生活を保障する財力もないし、ぐいぐい引っ張る指導力もない。ただ撲に出来る唯一のことは、漢方薬で気持ちと体を少しでも強くすること。ほんの小さな手助けだけれど、それで解放を勝ち取る人がいる限り、無い知恵を絞り続けなければならない。