一言

 薬局の備品も急激に進歩して、IT機器無くしては語れない。何とか付いていっているのだろうが、何周も遅れて走っているランナーのような気がする。機器を導入した会社の若い女性に教えてもらっているが、恐らく機械の性能の10分の1程も利用していないだろう。昨年子供が帰ってきたのをきっかけに、ガラリと機器を入れ替えたのだが、その女性と子供とは意気投合して楽しそうにやっている。  昨日もその女性がふらりとやってきて、色々アドバイスをしてくれた。珍しく僕は時間があったので、教えを請うたが、ほとんど意味がなかった。今復習しようとパソコンに向かったら、すっかり忘れていた。24時間も記憶されないのかと情けなくなる。まあ、こんな情けない話はおいといて、昨日彼女の会話で一つ感心したことがある。  昨年、自動分包器とレセプト用コンピューターシステムを導入したのだが、どちらもユヤマと言う会社の機械を導入した。調剤薬局でもない当方に根気強く訪ねて来たセールスの熱心さに応えて、他者と比べること無く導入した。導入後も良く訪ねてきてくれてお世話になっている。コンピューターの指導は前述の女性で、彼女も良くフォローしてくれる。彼女が昨日、誰か(薬局)を紹介してくれって話の中で、コンピューターの開発元(三菱メルフィン)の名前を言った僕に、わざわざユヤマメルフィンと言い直したのだ。レセプトコンピューターを紹介するときに、メルフィンとだけ言ったら、彼女が属するユヤマって会社には何のメリットもないのだろう。若いからまだ末端に位置するだろう女性が、会社の成績を考えて、勿論自分の成績でもあるのだろうが、固有名詞に拘った気配りになかなか感心した。企業って、やはりこうした個人の集合体で、だからこそ強いのだろうと想像した。僕ら個人経営にとってはうらやましい限りだ。あらゆる分野で大企業が席巻しているが、立ち向かえるわけがないと妙に納得した彼女の一言だった。