戦場

 喧嘩が大きくなれば、戦いになり、戦いが大きくなると戦争になる。戦争を始める前には、平和とか正義とかを口実にするが、正義が実現された試しもなく、平和がもたらされたこともない。おびただしい死者と飢えと瓦礫の山と環境汚染が残される。強制的にもたらされた死には愛がない。愛は本来人を生かすことだ。「戦争を知らない子供たち」でおれた僕らは幸運な世代だ。ところがその僕らが育てたのは「愛を知らない子供たち」ではないのか。幼い時から親が決めたような職業を目指す為に、学校と塾の中に閉じ込められて、人を生かすどころか、人をいかに蹴落として生きていくかと言うことを覚えさされている。子供たちはもう小さな戦争の中にいるのではないか。戦場は幼い心の中にある。幾つもの地雷を抱えながら、あえぎながら行進している姿が見える。