振り逃げ

 あれだけの人格者だったら、さすがにイ国の人だって失うのは惜しいと思うのではないかと、確信に近い思いを持っていた。ただそれは僕ら情に流されやすいこの国の人間の特有の想いかもしれない。もはや彼の才能や想いを生かすことができないのだから、損失は大きい。戦闘機2機分よりもはるかに高価だ。  まるで太平洋戦争中の侍日本のようなことを、砂漠の民がやっている。何でこんなに似ているのだろうと思う。特攻隊も首切りも日本特有のものかと思ったら、砂漠の民も全く同じことをする。まさか日本を真似たのではないだろうが、もともとそのような土壌があったとしたら不思議だ。  その残忍さを物知り顔達は強調するが、空から闇雲に爆弾を落とし、子供まで吹き飛ばす先進国とやらのことは全く口をつむぐ。爆弾の下の光景はおよそ直視できるものではないだろう。どちらがより残忍で罪深いか数字を並べてみれば恐らく一目瞭然だろう。アメリカに擦り寄るアホノミクス、アホノミクスに擦り寄るこの国のメディア。真実などいいように捻じ曲げられている。僕らが信頼できる情報は、後藤さんのような方が発するものだけだ。胡散臭さをかぎつける嗅覚を磨いて、今を直視し、振り逃げして一塁へ走るやつらを忘れないことだ。