返り討ち

 かなりの難題だ。基本的には断らない性格の僕だから1秒で引き受けたが、いざ今日の土曜日を使って大まかな内容をまとめようとしたがアイデアが全く浮かんでこなかった。たとえば漢方薬について話すのだったら原稿なしでいくらでも話すことが出来るが、危険ドラッグについて話せとなると全く興味がなかった分ネタがない。まして相手が小学生だったら何を話せばいいのか想像がつかない。  学校教育の一環で、薬についての授業が必須?推奨?らしい。そこで養護教諭に頼まれて1時間引き受けることになったのだが、2月4日と日にちを以前から教えられているのにやっと今日思い腰が上がった。何とか腰は上がったが気持ちは萎えていた。自分でも不思議なのだが、なぜかぴんと来ない。燃えるものもない。なんでだろう、何でだろうと一日中考えていたらやっとその理由がわかった。恐らく被害者の側に説教じみたことを聞かせ、それで莫大な利益を上げる側には、こうしたささやかな営みは見えないのだろうなと言う虚無感だ。何かと似ている、いやこの国を覆っている黒い雲と似ている。貧乏人が特権階級や金持ちを献身的に支えている構図と良く似ている。届かぬ善意が返り討ちにされる光景と良く似ている。  危険ドラッグなんて単語を知らないほうが、将来安全なような気がする。なまじ知識を与えると子供のほうから近づいていきそうな懸念もある。人の命をもてあそんで大金を得る、危険○○は合法非合法を含めて百花繚乱だ。さて○○のところに何を皆さんなら入れる。僕ならアホノ何やらを入れる。