人格を失った時

本当は 雨だれの雫を割って 中を覗いてみたかっただけなのだ その中に ほんの少しの勇気があったなら ちょっと借りてみたかっただけなのだ もし希望などと言うものがあったなら 小躍りして 明日に賭けて見ようと 思いなおすことも出来るかなと考えたのだ

本当は 夕焼けを切り裂いて 食べてみたかっただけなのだ その中に ほんの少しの熱情があるのなら もう一度 人生をやり直してみようと思ったのだ 肯定を否定するより 否定を肯定して生きてみようと思ったのだ

本当は 波しぶきのうえに 道化のように立ちたかったのだ 飛ばされていく 雲の涙が乾くまで 待ちたかったのだ とことん 不幸に耐えた風たちが 上昇気流の雄叫びを 聞かせてくれるのを待ちたかったのだ